ショウズトラスト メルマガ第8弾【待ち時間を楽しませるのも私達の仕事です】

メールマガジン 第8弾!

いつもお世話になっております。
ショウズトラストがメールマガジンを送付させていただく時期が、やって参りました。

5月1日、ついに元号が「平成」から「令和」に代わりました。
旅館の番頭さんのような小渕さんが「平成」と掲げてから、早31年。若者から親しみを込めて
「ガースー」と呼ばれている官房長官が「令和」を発表しました。
大型10連休のゴールデンウィ―クと重なり、年末年始のお祭り騒ぎのような感じさえ
いたしましたが、皆様はどのようにお過ごしでしたでしょうか?

前回のメールマガジンで「可処分時間」を取り上げましたが、ご記憶にございますでしょうか?
デジタル化が進んだことにより利便性が増し、物事が短時間で出来るようになったため、
自由になる時間が増えるようになったという内容でした。
確かにデジタル化により不動産の仕事も「より便利に」「より早く」なりました。

例えば、登記簿謄本を取得することでも、今までは管轄の法務局に出向かなければならなかったのが、
近くの法務局で取れるようになったり、グーグルのおかげで、大概の物件の外観が会社にいながら見れたりと、
今まで時間と労力をかけていた事柄が瞬時にできるようになりました。

そんな「時間」にまつわることですが、私たちの仕事には時間短縮ばかりでなく、
「待ち時間を持たせる」といった、一種の仕事?もあるんです。

沈黙の時間
皆様の中で金融機関から融資を受けて不動産を購入された経験をお持ちの方は、多いと思います。
残金支払いの際の融資実行時に登記の書類などの必要書類を記入後、銀行の担当者が融資実行を行いますが、
そこから振り込み手続き、売主様への入金が完了するまでにかかる時間が30分~長いと2時間程度を要することがあります。
30分位は、雑談や司法書士が説明する識別情報などの話題で持ちますが、それを超えますと、
何とも言えない時間が訪れます。

そうです。「沈黙の時間」です。

「誰か口火を切って話してくれないかなぁ」と出席者の誰もが思うこの時間に、
いかに楽しい話題を提供し、退屈な時間をあっという間に終わらせるか!
営業マンの腕の見せ所なのかもしれません。

時事や流行りもの、趣味の話など、話題は多岐にわたりますが、その中でも体験談が
一番お客様の興味を引いているように思えました。

絵画の話題
ある取引で、絵がお好きなお客様がいらっしゃいました。
決済場所が支店長室でしたので、作者は不明ですが、1枚の絵が飾られておりました。
その絵を眺めながら、お客様から
「絵はお好きですか?」と突然尋ねられ、
「見るのは好きですが、絵心が無いので」と答えるのが精一杯でした。

身近に絵画も無く、絵の才能のかけらもない自分には、無縁の存在でした。
たまたま出席した司法書士が絵が好きなようでしたので、2人で楽しそうに会話して
いましたが、一切話題に入れないもどかしさがあり、いつかは少しでも絵の話題に
参加できるようにしたいと思っておりました。

きっかけは突然!
何年も前になりますが、取引で知り合ったお客様がスポンサーになり、
共同で不動産会社を経営していたことがありました。
スポンサーが持っていた一戸建を改装して、1階を会社、2階を私の自宅にして会社が
スタートしました。リビングを応接スペースにしましたので、あまりにも家庭的な
雰囲気になったことを見かねて、スポンサーが所有している絵をリビングにかけるよう
貸してくれることになりました。
それは、約120年前に描かれた生活の1コマを捉えた作品でした。作者は有名では
ありませんでしたが、素人の私が見ても繊細な筆遣いで、関心させられるものでした。
今までは、絵画のある生活など無縁でしたが、毎日、絵を眺めていると漠然とですが
絵に興味が湧いてくるようになってきました。

チャンス到来
それから数年が経過した頃、会社を駅に近い場所に移転することが決まり、同じ時期に、
スポンサーが絵を売却することになりました。見慣れた絵でしたので、少し寂しい
気持ちになりましたが、ある日、他の絵と一緒に銀座の画廊へと運ばれて行きました。

ところが、数日して絵が戻ってきました。理由をスポンサーに尋ねると
「古い絵画は日本ではあまりマーケットが無くて、海外でないと高値が付かないので、
戻してもらった。サザビーズに出すことにしたよ」とのことでした。
戻ってきた数点の絵の片づけをしているときに、1枚の絵が目に飛び込んできました。
それは、帽子をかぶった女性の上半身を描いたものですが、目と鼻は明後日の方向を
向いているものでした。誰もが一瞬で作者がわかる作品。
そうです「ピカソ」でした。

 「これどうしたんですか?」

 「状態があまり良くないので、思ったより値段がつかなかったから、戻してもらったよ。
版画だから、あなたが想像しているような高額なものではないよ。」

「ナンバーも32/5010番以内ではないからねぇ」

「ピカソもいい絵を描いていた時期があったんだけどねぇ~」

よく見ると、4隅を画鋲で止めた跡があり、色も若干焼けています。
咄嗟に
「この絵を画廊で付けた価格で譲っていただけませんか?」と言ってしまいましたが、

「まぁ、いいでしょう。」と快諾してくれました。

 こうして、絵の状態が良くないことや題名すら知らないまま、晴れて自分のものになりました。

その時は、うれしさの方が数倍勝っていたと思います。
‘絵のことも知らない素人が衝動買いすると良いことはない’
というのが常道ですが、私がこの絵を購入したのには、もう1つこの絵にまつわる
エピソードが面白いからでした。

ミロの親戚
スポンサーがこの絵を手に入れたのは、昭和50年代の後半頃でした。当時、不動産会社を経営しており、
日本人向けのマンションをスペインに建設することになったそうです。
現地の関係省庁の担当者と親交を深めていき、観光局長とも仲良くなったそうで、
古いお城を改装して国営にしたホテルの日本総代理店をスポンサーの会社が執り行うまでになっていました。

そんなある日、その観光局長が2000万円貸してほしいとお願いに来たので、快諾してあげると、
この絵を持ってきたそうです。

スポンサーの話では、
「その観光局長はミロの親戚にあたるそうなんだ。
ミロとピカソは仲が良かったから、ピカソがミロの家によく遊びに来ていたので、
ミロからこの絵を手に入れたっていうことなんだ。」

ビッグネームが飛び出しました。

それに
「絵の4隅の画鋲の跡からして、子供の絵のように普通に壁に貼ってあったものを、
額装して持ってきたのかもしれないけど、箱に仕舞いっぱなしではなくて、実際に
飾って絵を楽しむという文化があるんだよなぁ。」と言っていました。

ありがちな話ですが、結局、お金は帰って来なかったそうです。
今となっては実際に確かめようがありませんので、嘘か誠か分かりません。
絵の真贋も調べてもらっていないので、分かりません。

でも、このエピソードを話しますと、退屈な決済の待ち時間が15分程解消されますので、
絵を購入した価値はあると思っています。

今まで行ったことのないピカソ展をはじめ著名な画家の展覧会に行くようになったのも、
この絵を所有したのがきっかけです。
でも、貧乏性なのか、やっぱり絵は箱に仕舞いっぱなしです。

ある日、ネットで同じ絵が銀座の画廊で販売されているのを見つけました。
やっと題名が分かりました。
色褪せしていない、オリジナルの状態に近いものと比べますと見劣りしますが、
機会があれば、銀座の画廊に見てもらおうと思います。
その時は、皆様に後日談としてご報告させていただきます。

可処分時間の増加で自由になる時間が増えておりますので、皆様も何がきっかけに
なるか分かりませんが、令和元年のスタートは新しいことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

些細なことから、新しい人やモノに出会えるかもしれませんよ!

**************************************

今回も不動産の話ではございませんでしたが、
これからもショウズトラストを宜しくお願いいたします。

不動産についてのご質問等ございましたら、どんな些細なことでも結構ですので、
お気軽にショウズトラストにお声がけください。

次回は3か月後になりますが、第9回もお楽しみに!